軒下に覗いているのは傘!? 知恩院に伝わる七つの不思議な話
「三方正面真向の猫」
狩野信政が残したもうひとつの不思議が、大方丈の廊下に描かれた親子の猫の絵だ。この親猫がどの方向から見ても見る人を正面から睨みつけることから「三方正面真向」と呼ばれている。親が子を思う様子を描いた絵を通して、仏が私たちを見守る慈悲の心を表しているという。
「大杓子」
今も残る長さ2.5メートル、重さ約30キログラムの大杓子。伝説では三好清海入道が、大坂・夏の陣のときに大杓子をもって暴れまわったとか、兵士の御飯を「すくい」振る舞ったという。「すくう」にはすべての人々を救いとるという意味合いがあると知恩院に置かれるようになったとか。
「瓜生石」
黒門への登り口にある大きな石。これは知恩院が建立される前からあるといわれ、周囲には石柵がめぐらされている。いつの間にかつるが伸び、花が咲き、青々とした瓜が実ったという説、八坂神社の牛頭天王が瓜生山に降臨し、ここに来現した一夜のうちに瓜が生え実ったという説が伝えられている。また石を掘ると、二条城までつづく抜け道がある、隕石が落ちた場所であるなど、さまざま言い伝えがある不思議な石だ。
浄土宗総本山として長い歴史を持つ知恩院。壮大な建造物を眺めつつ七つの不思議に触れ、ひと味違ったミステリーを楽しんでもいいかもしれない。
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